旅と芸術は人生を豊かにする

旅行と音楽、美術への想いを綴るページ。

神秘の子羊 ベルギーの見どころ

ヤン・ファン・エイク作の「神秘の子羊」。2019年私の旅にとってベルギーのゲントにある聖バーフ大聖堂を再度訪ね、この祭壇画を観ることが旅の大きな割合を占めていました。

遡ること10年前の2009年1月新年早々の演奏会を終え、次の日から一人ヨーロッパに旅立ちました。この旅の目的はその頃から俄然興味を持ち始めていた美術鑑賞の旅です。成田からオランダ、スキポール空港へ直行便で入り、ユーレイルパスで鉄道の旅をし、ドイツ、フランクフルトから帰国する日程を組みました。オランダ、ベルギー、ドイツを毎日のように移動して、ホテルも1,2泊ほどで連泊もほどほどに、各都市11の美術館を訪ねることができました。レンブレント、フェルメールゴッホという憧れの画家の絵を連日鑑賞し、また毎晩のようにチケットを取って各都市のホールで演奏会を聴きました。

その中でブリュッセルから日帰りで訪ねたのがゲントです。多くの美術館を調べる中で見たい絵やたくさんの作品が見られるであろう画家を調べますが、事前の準備をする中でこの「神秘の子羊」に出会いました。美術館ではなく、教会にある一枚の絵をみるためにゲントを予定に入れました。

駅から教会のある街の中心にはトラムに乗り向かいお昼頃に着きましたが、お昼の間は休憩時間として部屋を閉めて見学できなくなっていました。しばらく街を散策し、軽食を食べてから再度向かったことを覚えています。

1月の半ば、外は真冬の寒さで人もまばらでした。教会に入ると薄暗いながらも風が遮られほっとした気持ちになります。一角にある祭壇画の展示室はやはり人が少なく、ほぼ独占できるような状況でした。

画集ではわからない、この絵の大きさに圧倒されました。そして焦点があてられた子羊、それに向かって集まる人々、賛美する人、上段の聖人がファン・エイクのち密な筆で一面に広がっていました。解説を手に1時間近く、近づいて細かい部分を一つづつ見たり、離れたりしながら向かい合いました。

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美しい街並みのゲント、聖バーフ大聖堂

ヤン・ファン・エイクは15世紀北ヨーロッパ、フランドルの画家、油絵を完成させたと言われています。画面には奥行きがあり遠くの情景まで繊細に書き込まれています。細かいだけではなく、表情の美しさや多くの意味を持っていることに魅力を感じます。

このあとロンドンのナショナルギャラリーでの「アルノルフィーニ夫妻の肖像画」、ルーブルの「宰相ロランの聖母」などでも同じようにこの画家を魅力を感じることができました。

 2019年再度ベルギーを訪れることになり、すぐにゲントの再訪問を決めました。全日空ブリュッセルに直行便が飛んでいることはヨーロッパにベルギーから入るよいきっかけになりました。成田を午前の便に乗り、ブリュッセルに着くと、電車に乗り夕方にはブリュージュのホテルにチェックインすることができます。

ブリュージュに二泊し鐘楼からの眺望や遊覧船、グルーニング美術館を楽しみました。またブリュージュはパリなどの大都会などに比べすいていることもあり、過ごしやすくレストランも多く、おいしい食事を楽しめました。

3日目に朝早くチェックアウトしブリュージュの駅からブリュッセル方面に乗り1時間、ゲントを目指します。ゲントの駅は壁の模様が非常に美しい駅です。大きなコインロッカーがあり、日帰り観光でも大丈夫です。スーツケース大のロッカーがいくつもあります。身軽になったら街の中心部までは歩きでは30分以上かかりますのでトラムに乗ります。駅舎を出て左前方にトラムの乗り場がいくつかあります。券売機でチケットを買い1番のトラムに乗ります。メインの路線ですのでその先の観光地まで乗って戻ってくるのもいいかもしれません。時間が12時前もしくは13時を過ぎていたら聖バーフ大聖堂をまずは見学したいです。その間は「神秘の子羊」は祭壇画がしまっています。

私は11時ころに着き祭壇画の部屋を目指しました。4ユーロの見学料を払い中に入ると人だかりになっていました。1ユーロでオーディオガイドを借りると日本語での解説を聞くことができます。1枚1枚の解説を聞き近づき遠ざかりながら10年ぶりのこの絵をじっくりと見ることができました。一人一人の人物の表情、服や持ち物、楽器などやはりヤン・ファン・エイクのち密な絵に引き込まれました。以前もそうだったのか?絵の裏側にも通路があり、開いたときの扉の絵が裏側で見ることができます。こちらも白い石膏風の聖人像と寄進者の祈る様子がかかれています。1時間近く見学し、12時になろうという頃、係の人がカギの掛かった絵の部屋に入り、祭壇画の扉を閉め始めました。するといままで左右にわかれていた表紙画が1枚の画面になってみることができたのです。予想外のことでしたので新たな1枚が見れたような感激でした。祭壇画、表紙画どちらも見ることができ満足し教会を後にしました。

この「神秘の子羊」の見学だけでも十分にベルギーを楽しめると思っていましたが、その後のゲントは遊覧船からの街並み、多種のビールのおいしさがあり次回は泊りたいと思いましたし、ブリュージュブリュッセルでの食事のおいしさもありベルギーはまた来たいと思う国の一つです。

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周辺の工事も終わった?10年ぶりの聖バーフ大聖堂
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遊覧船からの眺め
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ゲントの街並み